行政書士の報酬は自由に決められます。
なので同じ建設業許可でも事務所によって価格が違うことがあります。
平成12年から報酬額の自由化され、各事務所ごとに金額を設定できるようになりましたが、これから開業するという方は自分のサービスの値付けをしなければならないともいえます。
行政書士の報酬額の統計とは
とはいえ、ほとんど雇用もなく、即独立が多い行政書士業界にとって、サービスの値付けというのは非常に難しいものです。
そこで参考になるのが、行政書士連合会が出している報酬額統計調査です。
285の業務について、平均、最小値、最大値、最頻値が設定されており、5年おきに更新されています。
今のものは平成27年度のものでしたので、おそらく今年度、最新版が出ると思われます。
※行政書士連合会のHPへのリンクです
この統計は一定の基準にはなりますが、正直統計に過ぎないのでそれほど参考にはならないかなと思います。
たとえば宅建業の新規知事免許申請の数字を見てみると、平均が107,195円、最小が37,800円、最大が216,000円、そして最頻値が100,000円となっています。
だいぶ幅がありますよね。
実際に自分の肌感覚でいうと、最頻値が10万円というのは過去の話かなと思います。
値決めの参考にすべきもの
現在の宅建業の新規の知事免許では平均でも10万円を切るようになってきたと思います。
宅建業だけでなく、行政書士業務の全般において、この数年はダンピング、つまり安値競争が進んでいます。
僕が開業した2008年くらいには12万以上だった宅建業の新規の知事免許の報酬も今では10万以下、5万前後の事務所も珍しくなくなっています。
だからこそ過去の統計を参考にしていては、現在の実勢価格との乖離が出てしまいます。
つまり、参考にすべきは他の行政書士事務所の報酬額と言えます。
多くの場合には広告費をかけているので逆に言えば広告費をかけても同業者によって結構消費されてしまうとも言えます。
行政書士の報酬の展望
行政書士の報酬はこの10年ちょっと、ひたすらに下がり続けています。
その根底にあるのは行政書士の数が増えたことによる競争の激化でしたが、今後は同業以外の要因でも価格は変わっていくでしょう。
例えば税理士の会社設立0円サービス。バックエンドを持っている税理士の会社設立サービスによって、今や行政書士の会社設立業務は成り立たないレベルになってしまいました。
最近はAIによって自動的に会社設立の書類が作成できるようになっているので、この分野はまだまだ低価格化が進むでしょう。
さらにはデジタルファースト法案にもとづく、行政手続きのオンライン化、簡素化によっても行政書士の報酬に大きな影響を与えるはずです。
報酬は難易度や工数によって決められると思いますが、簡素化してオンライン申請が可能になればそれだけ工数も減るからです。
もっといえば自分たちでできてしまう本人申請が激増するリスクすらあります。
こう書くと行政書士の将来に悲観的な展望しかないように見えますが、そうとばかりは考えていません。
誰にでもできる、簡単にできる、からこそテクノロジーで代替されるわけです。
であればそれらにできない部分に対応していければいいのです。
報酬は価値の対価です。
自分たちが新しい価値を創出し、エンドユーザーがその価値を認めてくれれば、高い報酬のサービスでも受け入れられるのです。
行政書士に限らず、多くの仕事がその在り方を変える必要が出ています。
新しい価値を常に追求していきましょう。