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取り扱う行政書士業務の選び方

このところ熊本や京都などから事務所見学や開業相談にいらっしゃる方が続いています。

そうしたときに聞かれることが多いのが業務の選び方。行政書士の異常に広い業務領域においてどのようなポイントで扱う業務を選べば良いのでしょう。

専門特化の勘違い

そもそも業務を選ぶ前に専門特化すべきかどうかについてですが、個人的には専門特化はマストだと思っています。もっといえば業界特化とも言えるかもしれません。

専門特化すると他の業務が受けられなくなると言う方がいます。

が、それは間違いです。特に開業した頃は色々やったほうが良い。

専門特化とはその中でも強い業務があるということ

そして強いものがあれば他の業務にも派生します。

僕はそれを一点突破全面展開と言っています。

特に地方では特定の業務しかできないと、よほど市場性が大きくない限りは行政書士という仕事は難しい。

広く浅くできなければならない。もちろん広く深くならいいにこしたことはないですが、それには膨大な時間がかかるでしょう。

専門特化することで効果的、効率的に特定業務の知識が蓄積されていきますし、それはその業界自体へのノウハウの蓄積にもなります。なので専門特化の先には業界特化につながります。

それによって従来の行政書士業務の枠を超えたサービス展開も可能になります。

業務の選び方のポイント

行政書士業務には許認可、法人設立、市民法務、VISAに大きく分けられると思っています。VISAも許認可といえばそうなんですけど、許認可だけでも1万種類を超えるといわれておりますし、法改正があればあたらに創出されるもの、例えば民泊やドローン、特定遊興など出てきます。

良く言えばよりどりみどりなわけですが、たくさんあり過ぎると朝のビュッフェみたいにどれにしようかなで結局色々手を出しすぎてしまいがち。

そこでいくつかポイントを絞ってみました。

①市場性

魚のいない池に竿をたらしても魚は取れません。小さな市場でいくら頑張っても絶対数が少なければ仕事にはなりにくいでしょう。

またその市場が成長期なのか衰退期なのかも大きな要素です。例えば民泊でいえば法改正でかなり盛り上がりましたが要件が厳しくて蓋を開けてみれば大きく失速はしています。が、それなりに一定のニーズはあるのでエリアによってはまだまだやりようはあると思っています。

②業務の継続性と関連性

たとえば建設業では毎年決算変更届という仕事があります。一方で古物商は許可をとってしまえば更新という概念がありません。どちらが継続的な仕事になるかは一目瞭然です。

殆どの許認可は5年おきに更新があります。NPO法人設立でも毎年報告書の提出があります。相続業務はこのあたりの継続性という点はありません。

また、関連性についてですが、例えば産業廃棄物業務は建設業や古物商、運送業との相性がいいです。廃棄物の多くは建設業から出るゴミですし、廃棄物でない、売却可能なものは古物商に該当する可能性があります。行きは荷物を運び、帰りは空で帰るのでなく廃棄物を運搬する運送業者もいます。

また法人設立業務は会計記帳や融資、補助金などに繋がる可能性があります。

こうした業務の関連性、拡張性があるかどうかも非常に重要な要素と言えます。

③報酬単価と工数

行政書士の業務は労働集約型、つまり売上をより上げるには今まで以上の作業量をこなす必要があります。一定を超えれば人の採用が必要になります。

報酬は単価✕業務量ですから、単価が増えれば売上は増えます。

が、例えば10万の仕事が5時間で終わるとしてそれを10件やれば100万の売上を50時間でたてられることになります。

一方で100万の仕事が100時間かかるとした場合、上記と同じ売上でも倍の時間がかかることになります。

これは極端な例ですが、大切なのは時給という概念を元に考えること。

単価が高い業務といえば融資、補助金、医療法人などの特殊法人、産廃の施設系でしょうか。

単価が高くても業務完了までに時間と工数がかかりすぎていては数をこなせませんから売上もたてにくくなります。この点は移動が多いかどうかも重要な要素と言えます。

④やりがい

そして結構大事なのがやりがいです。想いといっても良いかもしれません。

いくら単価が高くて工数が少なく、市場性があってある程度継続性や関連性があるとしてもつまらない、できるならやりたくない業務では続かないでしょう。

スポットなら良いかもしれませんが自分が続けていく業務にできるかどうかは長く仕事をするにはとても大事です。

おすすめの業務の選び方

上記を踏まえて個人的におすすめなのは3つの軸をもつこと。

専門特化すべきと行っているのに矛盾するように見えるかもしれませんが、自分がより突き詰めていきたい業務はやっぱりある程度業務をやってみないとわかりません。

市場が大きくて報酬単価もよく、継続性や関連性が高い業務、例えば建設業や入管などで自分が興味のあるもの、改正等でプチバブルになりそうなもの、あとは自分が好きなもの、やっていきたいもの、の中から3つの軸を持ってやってみることです。

これは変わっても良い。

だって市場は変わるから。大事なのは上記を踏まえて戦略的に選ぶかどうかです。

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ABOUT US

石下 貴大行政書士の学校 校長
1978年栃木県生まれ。立教大学法学部卒業。 2008年に行政書士石下貴大事務所を銀座で開業。 2010年業務拡大につき行政書士法人GOALに組織変更。 産業廃棄物関係や建設業、古物商、運送業の許認可を専門に多数の実績をもち、単に手続きをするだけでなく、法令や制度の改正やコンプライアンス経営など許可取得後も成長していける身近な相談役であることを目指している。 趣味はサッカー。高校時代は栃木県優勝実績もあり、スピードと体力には自信あり。