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行政書士業務の基礎と応用

開業当初は、毛嫌いをせずに積極的に受任しよう

前述のとおり、行政書士の仕事の特徴の一つがその業務範囲の広さです。
許認可手続きだけでも1万種類以上。
そのほかに各種法人設立業務や市民法務業務などもあります。

一言では手掛ける業務を言い表せないという行政書士のほうが多いかもしれません。
では、開業当初は、どのような心構えで業務を行うべきなのでしょう?

1つ言えることは、「土台がしっかりしていればある程度応用が利く」ということです。

開業当初は特に、依頼いただいたものに関しては毛嫌いせずに積極的にトライし、経験を積むことが重要です。

専門特化=特に強い業務を作る?

業務を専門特化すべきかどうかという問いには、正解はありません。

しかし、個人的には専門はあったほうがいいと思います。

  • お金や時間など限りある事務所の経営資源を集中して投下する。
  • 効率的に、その業務の知識や経験を積み重ねることができる。
  • 顧客満足度が上がり、紹介にもつながりやすい。

ということが考えられるからです。

また、専門特化というとそれしかやっていけないように感じるかもしれませんが、そうではありません。

あくまで専門特化とは特に強い業務を作る」ということなのです。
そうした業務があると、自然と他の業務の問い合わせも増えるようになります。

これを一点突破前面展開と呼んでいます。

専門の見つけ方とは?

では、どうやって広い業務の中から自分の専門を探せばいいのでしょうか?

いくつかポイントを紹介します。

1.市場について考えよう

ニーズがないところに資源を投下するのは無駄。
とは言わないまでもうまくいく可能性は低いでしょう。
筆者の場合には、許可業者数の推移を統計的に調べたり、競合について調べたり、業界の情報誌を読み漁りました。
時流をよむことも大切です。

2.継続性と関連性を考えよう

行政書士業務は、スポット業務が多い。
だからこそ、関連する業務があるのかがとても重要です。
会社設立をすれば、会計記帳や融資業務、補助金業務にもつながりやすいでしょう。

3.時給換算してみよう

時給とは報酬を業務完了までに必要な時間で割ったものであり、いわば自分の価値ともいえます。
この感覚を持つことが非常に大事なのです。
この感覚を持つにはまずは業務報酬を決めなくてはなりません。

特に開業当初は仕事が欲しいので安易に報酬を下げてしまいがちですが、これは致命的なミスです。

報酬額は途中で上げるのは非常に難しいです。
そのお客様からリピートの仕事を受けたときや紹介を受けた場合には、やはりその価格でやらざるを得ないでしょう。

結果として忙しく働いても手元にあまりお金が残らないという悲しい状況になってしまいます。

大事なのは、経験を積みながら業務完了までの時間を減らしつつ、
付加価値を加味して安価競争に巻き込まれずに、自分の時給を意識して高めていくこと。

そのために業務報酬について安易に値下げしないことです。

4.やりたいことかどうか

事務所経営を続けていくのは簡単ではありません。

経営とは継続すること。
そのために提供する価値を向上させ続けることです。

その意味でも業務はやりたいことかどうかを考える必要があると思うのです。

  • 仕事の内容やお客様の業界のこと
  • 自分の興味や関心
  • 経営の方向性や専門家としてのプラン
  • 自分のやりがい

などを総合的に考えて、その業務を続けていきたいと思えるか?

特に専門としてやっていく業務に関してはこの観点はとても大事でしょうし、
もしそれが自分の「強み」を活かせるものなら、なお良いでしょう。

理念経営という言葉があります。
仕事を通してどうなりたいのか、そういった軸を持つこと。

仕事で大変なことや厳しいことがあっても、ブレずに継続していくためには大切なことだと思います。

 

ABOUT US

石下 貴大行政書士の学校 校長
1978年栃木県生まれ。立教大学法学部卒業。 2008年に行政書士石下貴大事務所を銀座で開業。 2010年業務拡大につき行政書士法人GOALに組織変更。 産業廃棄物関係や建設業、古物商、運送業の許認可を専門に多数の実績をもち、単に手続きをするだけでなく、法令や制度の改正やコンプライアンス経営など許可取得後も成長していける身近な相談役であることを目指している。 趣味はサッカー。高校時代は栃木県優勝実績もあり、スピードと体力には自信あり。