長引くコロナによって多方面での影響も出ていますが、それによって副業を始めたり、起業する人は少なくないと考えています。
日本全体で見れば海外と比べ非常に開業率は低いのが現状ですが、経営者の高齢化が進む中でより一層、起業を後押ししていくのではないかと思います。
まさに起業支援は国の根幹に関わる非常に重要な業務だと思いますが、だからこそ行政書士も積極的に起業支援ができるようになる必要があると思っています。
行政書士の行う起業支援とは
言うまでもなく、会社設立などの登記については司法書士業務です。
しかし登記以外でも起業支援に必要とされる関わり方は可能です。一般的に、日本の起業率が低い理由として、(1)起業家精神が弱いこと、(2)事業に失敗したときのリスクが大きいこと、(3)起業に必要な経営リソース(事業資金、人脈、ノウハウ)が不足していること、(4)金銭的あるいは社会的な面でのリターンが十分に得られない事が挙げらます。
この点、事業資金については融資や補助金の申請のサポートができますし、お客さまの事業に必要な人脈をつなぐこと、経営面でのアドバイスができれば、起業される方にとってとても大きな役割を果たせます。
許認可手続きの専門家として
例えば産業廃棄物の収集運搬業で起業したいという場合、もちろん産業廃棄物収集運搬業という事業目的を入れる必要があります。
ただ、もしかしたらいつか中間処理もするかもしれません。その場合には産業廃棄物処理業という事業目的にすることで、収集運搬業と中間処理業、双方をカバーする文言となります。
また、産業廃棄物を集めるということは、もしかしたら中古品の販売もするかもしれません。
産業廃棄物の多くは建設業の廃棄物ですから、建設業もやるのかもしれません。
お客様が会社を作る際に、こうした許認可に必要な事業目的を正確に理解していることは少ないと思います。また、将来的に予想される事業についても提案することで、「それも入れておいたほうがいいな」と、中長期的な計画から踏まえて会社設立を促すことができます。
起業家の不安に対応する
起業する際、最も多くの悩みといえばやはり「お金」です。
設備投資が必要かもしれません。最初からうまくいくとは限らないので運転資金もあったほうがいいでしょう。
ではいくらあれば開業していいのか、今足りないとしてどうやったらその資金を集められるのか、なにか使える補助金等はないのか、僕たち行政書士はこうした起業家の不安に応えることができるのです。
一緒に事業計画書を作っていく中で、会計記帳の業務につながるかもしれませんし、契約書の作成依頼があるかもしれません。業種によっては利用規約を作ったり、会計の知識があれば顧問として伴走していくこともできるでしょう。
商売の基本は「不」を解消することだと思います。起業家の不安、不満、それをサービスにしていくことで、我々はもっと起業家にとって必要な存在になれるのです。
基本が大事
ただ、起業支援を多面的にやっていくためにも、まずは会社設立についての知識をしっかりみにつけることが大事です。
会社名で使えない文字はなにか、資本金はいくら位がいいのか、決算時期はいつがいいのか、本店所在地で気をつけるべきところは?株の割合や1株の金額、種類株などしっかり押させておかなければいけないことはたくさんあります。
作り方によってはお金を借りれないかもしれません。許可が取れずに事業目的の変更をしなければならなくなるかもしれません。
今は自動で会社設立の必要書類が出来上がるようなサービスもありますが、そうしたツールはこういう会社法や許認可、資金調達の知識などがないと使いこなせないものでもありますので、まだまだ行政書士が貢献できる領域だと思います。
ぜひ起業支援をやっていきたいという方はまずは基本の会社設立業務について学んでみましょう!